7年後に

「あっ、雨降ってるし、練習休みかなあ」

嬉しそうに聞いてくるが、ごめんね、バスケの練習は体育館なので。。

 

今日は参加者が少なくて、コーチがみっちり教えて下さっている

言われたように出来ないのが悔しいのか、コーチが怖いと思っているのか、泣きだしてしまった

泣きながらコートを走っている息子を見ながら、悶々と考えていた

 

息子はみんなと同じように理解したり、出来ない事があるってどうして言わないのか

それは特別扱いされたくないからだ

みんなには熱心に教えても、息子には同じように求めなくなる

諦められてるみたいで悔しい

でも、それは私の気持ち

息子は辛すぎるんじゃないか

コーチも、言っても無理なんだったら教えといてよって思うだろう

 

しゃくりあげながらも、走ってボールを追いかけている息子がもう笑えちゃうみたいで、他のお母さん達は「ガンバレ~」って声を掛けてくれたり「ビデオに撮っときたいね、こんな時もあったんだよって大きくなって見せてあげたいよ」って微笑ましいと見てくれているみたい

 

練習が終わって、何をするのもみんなより遅れる息子が、体育館の玄関でグズグズと靴を履き替えている

その様子を、少し離れた所でコーチが見ている事に気づいて

「泣いてばっかりでスミマセンでした」と謝った

 

するとコーチは「息子さんは、うまくなります。やりたくない子は来なくなります。こんなにしんどいのにちゃんと練習についてくる子はうまくなります。教え甲斐があります。でも、今はうまくならなくていい、バスケを好きになって欲しいです」って言って下さった

 

そんなのただの励ましだって事は百も承知だけど、ものすごく嬉しかった

落ちこぼれで運動のセンスなしでも、いてもいいよって言われた気がした

 

帰りの車の中で、コーチの言葉を息子に伝えた

 

照れと、恥ずかしさの混じった表情で

「涙はね、コーチとマンツーマンになると自然に出ちゃうんだ」

そっか、嫌だとか怖いとかではないらしい

「バスケ、好き?」

「う~ん、半分しんどい、半分楽しい」

上等!半分も楽しいのか

でもね、きっと私に気を遣っているよね

あんまりキツイなら、辞めさせてあげるよ

 

東京でオリンピックが開催されることに決まった

7年後にバスケという競技を、辛い思い出ばかりで見たくもないと思うのか

こんな楽しいスポーツはないと思って興奮して見るのか、どっちかなあ